最新の研究でわかった「腰痛の新原因 第3の腰痛 コンパートメント症候群」について、
今回紹介したいと思います。
腰部椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症など、原因が特定できている腰痛は、腰痛全体のわずか15%(厚労省調査)で、
残りの85%の腰痛は原因不明だと言われてきました。しかし近年、腰痛患者さんの約44%(福島県立医大調査)が
「第3の腰痛・コンパートメント症候群」により引き起こされた腰痛であり、
コンパートメント症候群は予備軍として50代あたりから少しずつ生じ、60代、70代、80代の人の腰痛では、
かなりその頻度が高いと云うことがわかってきました。
コンパートメント症候群の特徴は、1)長く立ち仕事をしていると腰が重だるくなる。
2)背筋を伸ばすと痛みが和らぐ。特に仰向けに寝ると痛みがなくなる等が代表的です。
本症の原因は、人の腰は広背筋という筋肉で覆われていますが、
コンパートメント症候群は今まで解明されていなかったその更に深層にある多裂筋(たれつきん)と
脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)の2つの筋肉が加齢によりやせ細る、
いわゆる「筋肉の衰え」にあります。多裂筋と脊柱起立筋は、
腰を動かしたり上半身が前に傾かないよう後ろ側に引っ張って支える働きをしています。
加齢によりこの2つの筋肉が痩せ細ると上半身が前に傾き、それを支える2つの筋肉は常に引っ張られる状態になります。
すると常に強く引っ張られる筋内は次第に血流が悪くなり、筋肉内に発痛物質が出て痛みが発症することになります。
さらにコンパートメント症候群が進行すると、先に述べたように、
わずか数分歩いたり立っているだけでも腰の重だるさが現れ上半身が前に傾いてしまいます。
その場で背筋を伸ばすと痛みが和らぎますが、痛みが頻繁に現れる為に生活の質が大変悪くなります。
ここでコンパートメント症候群の可能性がわかる簡単な検査のやり方を説明しますと、
先ず、うつ伏せになり手を頭の上に乗せ、25度ほど両足を軽く上げてキープします。
この状態で2分キープできない方は第3の腰痛の可能性が高くなります。
コンパートメント症候群は歳を重ねれば誰でも発症する可能性のある病です。50代、
60代になって初めて腰痛を感じるようになった方・いつもとは異なる腰の痛みを感じた方は、
背骨周囲の深層の筋肉の衰えが原因で起こるコンパートメント症候群かも知れません。
以上のような腰痛に対して、腰部の表層筋ではなく直接深層の筋肉をねらった有効刺激ができる鍼灸治療をお勧めします。
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