鍼灸刺激は、人の身体に対し独特の反応を示します。この刺激によって現われる反応は生活機能を高め、
ある病気に対する抵抗力、すなわち治癒力を高めます。
また、治療効果を得るには、病気の状態にあった適切な刺激量による鍼灸刺激が必要で、
これを「適刺激」と言います。例えば、鍼灸治療の際「5」の刺激量で刺激した時に、ある人はその刺激を「10」として反応し、
ある人はその刺激を「2」にしか感じない、同じ刺激量「5」で刺激しても人によってその反応には当然違いがあります。
この場合「5」の刺激量で「5」の反応を示す時に、その「5」の刺激を「適刺激」と言い、
この「適刺激量」による鍼灸刺激は有効刺激となり結果として治療効果が得られます。
つまり、鍼灸治療の「刺激量」は、初回は弱めの刺激をし、その生体反応を観察、2回目は初回より強めの刺激をし、
その結果を診て、最終的には治療3回目に最適な「刺激量」が決定されます。
但し、年齢・病気の内容等々、人によって治療回数と「刺激量」の決定には個人差があります。
「刺激量」の調節は、鍼の太い細い、刺鍼の深い浅い、
置鍼(鍼を刺入した状態で置くこと)の時間の長い短い等の鍼刺激の強弱によって行います。
また、灸においての強弱は、捻り(ひねり)の硬い軟らかい、艾(もぐさ)灸の大きい小さい、
壮数(ツボに灸をすえる数)の多い少ない、
直灸(直接皮膚に施灸)か隔物灸(皮膚に塩やにんにくを置きその上から間接的に施灸)か等によって行います。
これらの刺激の性状及び強弱によって生体の現す反応が異なってきます。
このように、鍼灸治療の効果をあげるには、鍼灸治療の「刺激量」が重要な「鍵」となります。
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