今回は、不妊症に対しての鍼灸の治療方法についてお話したいと思います。
先に述べた不妊症の原因には、器質的原因〔例えばロキタンスキ−症候群のような生まれつき子宮が欠損している組織臓器そのものに原因がある場合]と機能的原因[例えばホルモン分泌の異常など組織臓器は解剖的には全く問題なく正常なのに、その働きが悪いことが原因など]の2つに大別されます。鍼灸治療は、前者の器質的な原因によるものには効果が期待できませんが、後者の機能的な原因にはかなり効果的で、個人差はあるものの、時間をかけて少しずつ不妊体質を変え体質改善していく身体には優しい治療法と言えます。
当院では、先ず「病院での不妊に関する基本検査の内容」(例えば、排卵と精子の受精の場である卵管の状態)を問診します。そして、患者自身が記録する基礎体温(BBT)で「排卵があるかどうか」はある程度見当がつくので、毎回治療前に基礎体温をチェックし鍼灸治療の反応を診ながら定期的に治療を行なっていきます。
鍼灸治療は、自律神経・内分泌系の機能調整を目的に、不妊の原因になっている自覚症状や、体質(他覚所見)から見て効果のあるツボを選び、下腹部・腰仙部・手足のツボの反応点に鍼や灸頭鍼(灸痕を残さないお灸)を用いて刺激することによって、体質を改善し、「妊娠しやすい体作り」を行います。その結果、6年間も婦人科治療を受療しても生理がなく半ば妊娠をあきらめていた患者さんが、第1子・第2子と出産した症例や40才半ばの高齢出産の症例等、かなり高い確率での鍼灸治療効果を得てきました。
「不妊症」でお悩みの方は、是非「鍼灸治療」も行ってみて下さい。
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