今回のテ−マは「足のむくみ」です。最初に「むくみのメカニズム」について説明いたします。
健康な人の心臓から全身に送られる血液は、動脈を通じて末端の毛細血管まで運ばれ、そして静脈を通じて再び心臓に戻って行きますが、足に運ばれてきた血液は重力に逆らって心臓に戻る必要があります。そのため、ふくらはぎの筋肉がポンプのような役割を果たして血液を心臓に送っています。また、足の静脈には血流の逆流を防ぐ弁があり、血液を効率よく心臓に戻すために役立っています。こうした働きにトラブルが起こると、血液が足にたまってしまい、足がむくみます。
詳しく言いますと、血液は、赤血球などの固形成分と血漿(けっしょう)という液体成分によって構成されていますが、「足のむくみ」は、この血液中の液体部分(血しょう成分)が、血管の外に出て余分な水分が組織に溜った状態、皮膚の下に不要な水分がたまる症状のことを言います。
つまり、心臓のポンプ作用によって送り出された血液は、動脈を通り身体の隅々まで行き渡り、血液の血しょう成分が、細胞間の細胞間液になって細胞に酸素や栄養を届けます。酸素や栄養を届けた細胞間液は、次に細胞で使われた後の二酸化炭素や老廃物を回収し、再び血液の血しょう成分となり、静脈やリンパ管を通って心臓に戻ります。このとき心臓に戻る血管の静脈の働きが悪いと、リンパに送られる細胞間液(血しょう成分)の量が増えてしまいます。「むくみ」の仕組みは、静脈の流れが悪かったり、リンパ液がスムーズに流れないことで、細胞間液が血管に戻らず、細胞と細胞の間に細胞間液、いわゆる余分な水分(血しょう成分)として溜まってしまうことにより、むくみが出現します。
次回は「足にむくみが生じた時に専門家に受診する目安とポイント」について説明します。
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